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熊野灘・熊野川でノボリ(サツキマス)や、熊野古道(熊野街道)の散策など、アウトドア「浜松オヤジ」のよもやま話

ハンターと仔鹿

みなさん、明けましておめでとうございます。
オヤジのアウトドアよもやま話2008年初回は、スポーツワールド新年の七色ダム最初のお客さまのお話から。

2008年1月4日。尼崎からの仲の良さそうな3兄弟のお客さま。仮にHさんとさせていただこう。
幸い、この日は穏やかな日和だったが、年末年始の荒天でかなり冷え込んだこと、おそらく、この日からダムの稼働が始まったせいか、発前日までの満水から急に水位が下がったこともあり、釣果の方は残念ながら・・・。
でも、桟橋でした話は釣りよりも、彼達が経験した鹿の話になった。

彼達によると、ハンターが放った猟犬が、仔鹿を彼達の釣りをしているワンドに追い込んできた。仔鹿は猟犬から逃れるためダム湖に飛び込み逃れようとするが、猟犬も後に続く。
ワンドを横切り対岸に、さらにまた追われてダム湖に・・を繰り返し、やっとの思いで仔鹿は急斜面にしがみつき、岩に化けるように動かなくなった。
彼達は2艇のボートに分乗していたが、仔鹿をかわいそうに思い、ハンターと猟犬の視界をふさぐようにボートを付けた。幸い、猟犬もハンターもあきらめて引き上げたので、瀕死の仔鹿を助けようとボートを向けた。

ところが、仔鹿にとっては彼達の思いが伝わるはずも無く、また追われるものとダム湖に飛び込んだ。必死に助けようとする彼達の目の前で、仔鹿は天を仰ぐように沈んでいった。
それでも、やっとの思いで仔鹿を引き上げたが、瞳孔は開き瀕死の心肺停止状態。彼達は何とかしようと、しばらく心臓マッサージを続けたらしい。でも、残念ながら仔鹿は戻ってこなかった。
ほんのもう少し、ほんのもう少し早く助けられれば!そして、仔鹿が動かずにいれば・・・と、複雑な思いを残し引き上げてきた。

鹿は猟犬に追われると必ずダム湖に逃れようとする。狩猟のシーズンは湖上でよく見かけるシーンだが、目の前で失われた命に複雑な気分を味わった様子だった。
でも、仔鹿は残念だったが、彼達の優しさはオヤジには痛いほど伝わってきた。
こんな彼達兄弟には次回是非、楽しい釣りをしてもらいたいものです。
次のお越しをお待ちしていますよ。

合掌。

おやじこと浜松 光

ガイド:浜松 光(はままつ ひかる)

かつて、かの文豪(故)開高健氏にワームの達人とまで言わせた、スポーツワールドご意見番。紀伊半島のゲームフィッシングに精通し、熊野川のノボリ&シーバスガイドと熊野灘のソルトウォーターフィッシングガイドを担当する。また熊野古道語り部ガイドとしても活動し、総合的なアウトドア活動を皆様にプロデュースしている。

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